彼らは幼い頃からの幼馴染み。
記憶を辿ればそこにはいつもボール。
ひたむきに追いかけた、ただただ1番になりたくて。
それもいつしか遠い思い出となり、
いま、それぞれの夢に向かって歩み出すとき。
名門、強豪校、ユース、トレセン、いろいろあってみんな違う道。
でも、今もあの頃も変わらないことはただひとつだけ、
1番になりたい。待ってろゼンコク。
またそこで会うと信じて挑戦を胸に誓った同志達(ライバル)。
痛ってててて...もう朝!?今日も重たい体を起こしつつ、真っ黒に焼けた顔を洗って...
「早くしなさーい」用意された母の朝食を掻き込んだ。
"カランカラン" 氷を目一杯に詰め込んだ1リットル水筒を手に、「行ってきまーす」
今日も一日中練習試合。全国常連がやってくる、
厳しいチェック、強靭なフィジカルとスタミナ、個々の技術力。監督の熱。絶対強いんだろうな、削られんのかな。
連日の疲れなんて言ってられないか。あー休みたい。
散っていった同学年のライバル達は早速スタメン張ってんだっけ。
BPとチャレンジャー。奴らそれぞれ名門校で寮生活やってんだっけ。
負けてられないよなこんなところで。必ずくるチャンス、そのワンチャンスにかけてやる。
ひっくり返す、おれの圧力と存在感で弾き返してやる。
後ろから「おはよう」と声をかけてきた。
チーターだ。
「今日の相手やばいよな~」
「でもさ、なんかゾクゾクしちゃってさ、どこまでやれるか試してみたくない?」「まあ出番があればって感じ?w」
「もし呼ばれたら、欺いて、裏とって、一撃をかましてやんぜ」
安心した、こいつも同じ感じだ。大きな脅威に背くことはしないトモダチ。こいつがいるから体を張るし、届かないはずのあと一歩足が出せる。
ヨーイドンで負けたくない、おれの負けず嫌いが騒ぎ出す。
「なあ?、おれらがやんなくて誰がやんの?、目指すでしょインハイ、ゼンコク」
そこにはきっと栄光があると信じている。そしてそのさきへと誘ってくれる。 ”ピィーーーーーーー”試合開始。
試合中盤監督がこっちを向いた。
「プレッサー、チーター、行けるか?」
互いに目と目を合わす。笑ってらあ、フフ...だよな。スパイクの紐を結ぶ手に力が入る。さあ行こうか、未来を変えてやろう、掴み取りに行こう。
見ていろよ、挑戦の始まりだ。