「心で勝負」を胸に、岩倉魂で見せる日本一への挑戦。
全国の舞台を目指して、日々トレーニングに励む岩倉男子高校サッカー部。チームを率いるのは、長年にわたり実践学園高校を率い、現在は岩倉高校で指導にあたる深町公一総監督と、元ビーチサッカー日本代表GKという経歴を持つ小川和男監督。
生徒たちの「人間としての成長」を目標に掲げながら、全国の頂点を見据える小川監督に、これまでの歩みと指導哲学、そしてチームの未来について話を伺った。

ビーチサッカー日本代表から
高校サッカーの指導者へ
小学1年生からGK一筋でサッカーを続けてきた小川監督。高校・大学・社会人でのプレーを経て、縁あってビーチサッカーの世界へ飛び込むこととなる。2005年にはラモス瑠偉監督率いる日本代表に選出され、「FIFAビーチサッカーワールドカップ」に出場。そこで学んだのは、「仲間の状況や気持ちを考えてプレーすること」の重要性だった。 「縦37m×横28mの狭い砂浜のコートでは、パスが数十センチずれるだけで全く別の展開になります。相手や仲間の気持ちを捉えながら、ゲームを作っていくというビーチサッカーでの経験は、現在のサッカー指導にも大きく共通しています」 その後、ビーチサッカー日本代表として活躍する前から抱き続けてきた「高校サッカーで勝負したい」という熱い思いを胸に、現在の道へと進んだ。
指導の原点・深町先生との出会いと「心で勝負」の精神
小川監督の指導の根幹には、現在岩倉高校でともに指導にあたる、深町公一総監督の存在が大きく影響している。深町総監督は、1991年~2023年まで実践学園で監督を務め、全国総合体育大会(インターハイ)に4回出場、また全国高校サッカー選手権大会には3回出場するなど、全国レベルのチームを作り上げた名将であり、小川監督が心から尊敬する人物だ。
2022年、知人の紹介で実践学園の練習を見学に訪れ、深町総監督の指導を目の当たりにした小川監督は、「側で学ばせてほしい」と自ら志願してGKコーチとしてチームに加わり、指導者としての在り方を学んでいった。
現在、岩倉高校サッカー部のエンブレムには、深町総監督の言葉である「心で勝負」という文字が刻まれている。
小川監督が大切にする人間性の育成——「毎日笑顔で挨拶・返事ができる」「窮地に立ったとき相手の気持ちを考えて行動できる」——といった姿勢はすべて、 サッカーを通じて人間的に成長すること、また社会に出ても周囲の人を幸せにし、その人がいることで場の空気まで明るく、前向きなものにできる人材の育成へと繋がっているのだ。
悔しさを糧に、新たなステージへ向かうチーム

現在の岩倉高校男子サッカー部は、選手全員がベクトルを合わせ、小川監督が「仲間」と呼び、厚い信頼を寄せるコーチ陣とともにお互いを高め合う素晴らしい雰囲気にある。
カテゴリーや学年間の壁もなく、選手全員・スタッフがピッチ内外で良好な関係を築いているのが強みだ。 2025年は「全国高校サッカー選手権東京都予選1次予選1回戦」において2-3で敗れ、悔しい結果となった。しかし、その経験をバネに、2026年は夏の遠征、日々の練習を経て着実に力をつけてきた。「どんな相手でも一戦必勝。一つずつやってきたことを出す」と、二次予選進出を果たした今、本選に向けてチーム全体で強い気持ちを持って準備を進めている。
「日本一入りたくなる」チームへの挑戦
今後の岩倉高校のビジョンについて、小川監督は「部活動としては『日本一入りたくなるようなサッカー部』、競技面では『日本一』を目指す」と語った。
小川監督が思い描く「日本一入りたくなる部活」とは、選手一人ひとりが物事の本質を捉え、自ら考え、判断し、主体的に行動できる組織だ。
そして、その指導はサッカーだけにとどまらない。岩倉高校サッカー部が大切にする「文武非二」の考えのもと、サッカー、学習、学校生活を別々のものとして捉えるのではなく、それぞれの経験が互いにつながり、人としての成長へと結びついていく。生徒たちがサッカーにも日常にも夢中になって取り組める。そんな環境を生徒とスタッフが一体となってつくり、「ここで成長したい」と思えるチームを目指している。
その考え方は、日々の活動にも表れている。試合後には選手自身が試合を振り返り、課題を分析し、「次はどのような練習をすれば改善できるのか」を自分たちで考え、意見を交わす。指導者からサッカーの本質や、その土台となる原理・原則を学びながら、選手自身が考え、判断し、自分たちの手でチームをより良くつくり上げていく。そうした積み重ねを通して、選手一人ひとりの主体性を育み、チーム全体の成長につなげている。
そこには、今をともに戦う選手や保護者はもちろん、これまで岩倉高校男子サッカー部の歴史を築き、支え、関わってきてくれたすべての人たちが、胸を張って誇れるチームにしたいという思いがある。
そして、その先にあるのが、自身を導いてくれた深町総監督を日本一の監督にしたいという熱い願いが込められている。
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【指導者プロフィール】
■ 深町 公一(ふかまち こういち)/ 総監督
広島県出身
岩倉高校副校長(保健体育)
1991年4月〜2023年3月実践学園高校サッカー部監督を務め、全国総合体育大会(インターハイ)に4回、全国高校サッカー選手権大会に3回出場を果たした名将。
また、1994年のアジア大会で6位に入賞した「セパタクロー元日本代表主将」という経歴も併せ持つ。
■ 小川 和男(おがわ かずお)/ 監督
埼玉県出身
・ライセンス
JFA公認B級コーチ、JFA公認GK-L2コーチ。
中学・高等学校教諭一種免許状(保健体育)保有
ビーチサッカー元日本代表として、FIFAビーチサッカーワールドカップ(2005年4位、2006年ベスト8)や、AFCビーチサッカー選手権(2006年準優勝)など、世界を舞台に活躍した実績を持つ。







