【活動3年目で県準優勝】FC琉球高等学院が巻き起こすRyukyu Wind「琉球の風」 〜沖縄から全国への挑戦〜

2022年、沖縄県の高校サッカー界に新たな風が吹き込んだ。FC琉球が創設した「FC琉球高等学院(以下、琉球高等学院)」サッカー部の誕生だ。

チーム活動開始からわずか3年。今年の沖縄県大会で準優勝という快挙を成し遂げ、一躍注目を集める存在となった同校だが、そのスタートは決して華々しいものではなかった。今回は、チームの立ち上げから深く関わり、急成長の立役者となった石川氏に、チームの軌跡と「沖縄から全国を目指す」ための独自の育成哲学について話を伺った。

始まりは「お互いをリスペクトすること」から

通信制という新しい枠組みの中で、最初は「自分の好きなこと(サッカー)だけをやればいい」と勘違いしてしまう生徒も少なくなかった。しかし、石川氏ら学校職員は妥協しなかった。「組織としてのルールを守ること」「お互いをリスペクトすること」。この規律を徹底的に求め続けた。

その結果、チームの土台となる確固たるメンタリティが形成された。真面目にサッカーと向き合い、仲間を思いやれる選手たちが残り、彼らが中心となってわずか3年での「県準優勝」という飛躍的な結果へと繋がっていったのだ。

激戦区で埋もれる才能へ「琉球高等学院というチャンス」を

現在、琉球高等学院には沖縄県内だけでなく、全国各地から選手が集まってくる。その理由の一つが、プロクラブであるFC琉球との連携による圧倒的な環境だ。

県外から入学する生徒たちは学生寮で生活し、プロ基準の栄養管理が行き届いた食事をとることができる。遠方からの進学となるとホームシックなどの不安がつきものだが、「『ここで成長するんだ』という強い覚悟を胸に海を渡ってきた子が多く、皆たくましく沖縄の環境に順応しています」と石川氏は語る。

「例えば千葉県などの激戦区では、全国優勝を狙えるような学校に何百人もの部員がいて、優秀な選手でも出場機会に恵まれず埋もれてしまうケースが多々あります。そうした選手たちにとって、琉球高等学院は大きなチャンスになるはずです」

来年4月には新校舎への移転も控えており、これまで課題だった移動距離が解消される。さらに、天然芝3面という全国屈指の練習グラウンドが使用可能になる予定だ。プロを目指す選手、そして高校サッカーに全ての情熱を注ぎ込みたい選手にとって、これ以上ない環境が整いつつある。

攻守で徹底されるコンセプト「ライン破壊」

全国の強豪と渡り合うため、チームがピッチ内で掲げているコンセプトが「ライン破壊」だ。これは攻撃と守備、両面において徹底されている。

守備時においては、相手の「パスコース」の限定と破壊を狙う。追い込み方ひとつにこだわり、前線からの連動したプレスでパスコースを寸断してボールを奪い取るのだ。 一方、攻撃時においては相手の「ディフェンスライン」の破壊を目指す。例えば、センターバックを巧みにおびき出し、そこから生じたスペースを突いて、ボールを奪った瞬間にゴールへ直結するスピーディーな展開を仕掛けていく。

攻守においてこのコンセプトを体現するためには、圧倒的なフィジカルと、戦術を深く理解するための高い思考力が必要不可欠となる。

自立への道を切り拓く「文武連動」

そして、琉球高等学院が何よりも大切にしているのが「文武連動」である。同校は鹿島朝日高校との技能連携校であり、午前中に激しいトレーニングを行い、午後はしっかりと机に向かう。

例えば「授業態度B評定が3回」「レポート提出期限が守れない」などで公式戦の出場が停止となる独自の厳しい規則がある

石川氏は、チームが求める生徒像についてこう言葉を強める。 「サッカーがなくなった時、生きていく力を身につけていなければ社会的に認められません。たとえ今、勉強が苦手な子であっても、苦手なりに一生懸命頑張れる子は、うちに来たら必ず伸びます」

同校では、従来の5教科のような座学だけでなく、運動生理学やコンディショニングといったアスリートのための専門知識、さらには将来を見据えた指導者育成のノウハウなど、直接サッカーに関係する専門的な分野も学ぶことができる。一般的な普通科の高校ではなかなか得られないカリキュラムであり、学んだ知識を日々の厳しいトレーニングの中で即座に自身の身体で実践・検証できる点は、同校ならではの大きな強みだ。

「大好きなサッカーに関連する学びをきっかけに『学習のコツ』を掴んでくれれば、それがサッカーの技術向上に繋がるのはもちろん、卒業後に社会へ出た際のスキル獲得などにも必ず活きてきます」

単なる「サッカーエリート」ではなく、組織力やビジネススキルを兼ね備え、自立した人間を育てる。それこそが、石川氏が定義する「真の成功」だ。

沖縄グラウンドで躍動する選手たちを支えるもの

日々の部活動の中で、選手たちの情熱とハードワークを足元で支えているのがSFIDAのボール『MAGNAS 』。

「グラウンドでの激しい練習でも、耐久性が非常に高く、蹴り心地も抜群に良い。日々のタフなトレーニングには欠かせないボールです。また、選手たちが着ている公式戦のユニフォームや練習着なども、沖縄の暑さの中で汗をかいてもサラッとしていてごわつかず、質の高い練習に集中できています」と石川氏は笑顔を見せる。

「沖縄でサッカーといえば琉球高等学院と呼ばれる存在になりたい。そして、卒業生が社会や沖縄県に貢献し、その姿を見た次の世代がまたここへやってくる。そんなサイクルを作っていきたいですね」

今、沖縄から全国へと確かな熱量を持って広がり始めている。琉球高等学院の快進撃は、まだ始まったばかりだ。